葬儀の打ち合わせがあると
翔くんの両親は
リビングに出て行った。


はぁくんが

「俺 庭にいるから
なんかあったら呼べよ。」


そう言って今のベランダから
サンダルを履いて
大きな庭に出て行った。



「翔…私に会いたかった?
何回も名前呼んだ?
辛かったでしょ?
痛かったでしょ?」


白い着物の中には
白い包帯が見えた。


「ごめんね。
気がつかなくて……。」



冷たい唇にキスをすると
薬品の匂いがした。



「あの朝のキス・・・・
めっちゃ熱いキスだったよね。
もう熱くて溶けちゃいそうで…
最後 最後っていうから…
最後になっちゃったじゃん……」



石のように固まった
身体に抱きついた。


「コテージはベットだから
こうやって寝るんだった……」


翔くんの白い布団に
入りこんで
翔くんの横顔を見上げた。


「これからずっと
こうやって翔くんを見られるはず
だったのに……。
バカ…山なんて大嫌い……」



さすっても
さすっても
あの熱い唇は石のように
固く冷たい……



肉体が滅びて行く途中・・・・
愛しい人の姿が消えて行く……