「未来」

はぁくんが立ち上がって
私の手をを顔から
静かに離して

引いた。


私は必死に目をつぶって
それを見ないように
した。


「未来 先生いい顔してるぞ。」


パパが言った。


「ほんとに…眠ってるみたいに…
辛かったでしょうに……」

ママの声が震えた。



「辛い思いさせて
ほんとにごめんなさいね…。
ただどうしても
翔登の親として
あの子の思いを遂げてやりたくて
自己満足だとしても…
あの子が今一番したいこと
最後にしてあげたいの……」


翔くんのおかあさんの声に
私は自然に目を開けていた。


翔くんによくにた
おとうさんと
翔くんの笑顔に似たおかあさん



「はじめまして…
未来です・・・。」


やっと挨拶をした。


そしてはぁくんに導かれ
白い生地のかかる
横におそるおそる座った。



「翔ちゃん…
未来ちゃん来てくれたよ。
可哀そうに
こんなに目を腫らして
おまえは悪い子だね……」


そう言って静かに
生地をとった。