家へ帰ると、サキさんの部屋の襖はまだ閉まったままだった。

こんな時間まで寝ているなんて珍しい。

あたしは、音を立てないように襖を開けて中を覗いた。

こちら側に足を向けて眠っているサキさんが見えた。

またゆっくりと襖を閉めて浴室に向かう。


……でも、シャワーから出てきても襖は閉じたままで……。


「たまには、朝食なんて作っちゃおっかな」


鼻歌混じりに冷蔵庫の扉を開ける。

そして、食材を選ぼうと伸ばした手を……止めた。

微かな胸騒ぎと共にあたしの脳裏に浮かんだのは、サキさんが脳梗塞で倒れたあの夜のこと。

眠っているんじゃなくて、意識を失っているんだとしたら ――