この春、高校三年になったりっちゃんは、最近ちょっと雰囲気が変わったように思う。

髪の色も少しだけど明るくして、なんだか表情も明るくなったように感じていた。

ナナの運転する車で“森のふくろう”へ行き、三人でお茶をした。

その帰り、先にりっちゃんを家に送った後で二人きりになったあたしとナナ。必然的っていうか……車の中はやっぱり、なんとなく気まずい空気が流れていた。

りっちゃんの家からの道のりをこんなに遠く感じたことはない。

会話の無い車の後部座席は、居心地が妙に悪かった。



家へ着き、車を降りようとしたあたしを「ねぇ」とナナが呼び止めた。

「あんたの髪も、よかったら切ってあげようか?」

そっぽを向いたまま、ぼそっと吐いたナナ。