「何、これ?柔らかい…。名刺…じゃないの?」

私は両手で触りながらソレが何なのか確かめてみる。

「触り心地いいだろ?ソレ、雲の綿毛から作っているんだ。」

「は?」


「その真ん中に書いてるアドレス。

携帯のメールアドレスの宛名に入れて
夜空に送信してみて。

あすみちゃんと気の合う流れ星があすみちゃんを迎えに行くから。」


「はぁ?」


「あっ、僕はルオウって言うんだ。」

「そうじゃなくて…」

その人は、とことん勝手に話を進めて

「じゃあ、待ってるから。」

そう言うと、強い風が吹いた。

「ひゃぁ!?」

その強さに目を閉じる。


風が去ってから目を開けると


そこには、もうルオウと名乗った男はいなかった。