単位が余裕で足りるのは事実だけど、千紗が心配してくれてるのは、私がまた一年の時の様に単位ギリギリで進級出来ないかもなんて事にならないかって事。


次は、進級じゃなくて卒業だけど。



「千紗がお弁当食べ終わったら帰るわ。」

「何も気使わなくてもいいのに。」


「別に、気使ってるわけじゃないけど…」



千紗は、お弁当を食べ終えるとわざわざ玄関までついてきてくれた。

「気をつけて帰りなよ。」


「うん。」

小さく手を降ってから、私は学校の校門をくぐった。


太陽が、ギンギンにアスファルトと私を照らす。

「あっつい…」

ため息を何度も吐き出しながら歩く。

速めたり、緩めたり。

家に帰りたいわけじゃなくて学校にいるのがイヤなだけ。

歩きながら、どこへ行こうか考えても特に行く場所なんてないから自分の住む団地の屋上へと足を進める。

誰もいない屋上。


柵に手をかけて、下を見下ろす。