「お前、妖魔か?」

俺の質問を無視して、質問をしてくる。

「俺が聞いてるんだ。面倒くせえ対応してるんじゃねえ」

「歪んでるアル。お前のハートにアイラビューアルよ」

純血は頭がおかしいらしく、放っておいてもいい。

「混血なんて一人もいないと思っていたが、一日に二人会うなんてな」

男の表情は変わらないが、感情の揺れはあったみたいだ。

ニオイの変化で解る。

どんなニオイでも捉えることが出来る能力。

それは親父の能力だった。

親父はそれを使って物探しや人探しをすることを可能にした。

時には相手の感情などを読み、賭け事もしていた。

親父は決して嫌いじゃなかった。

だが、死んだ。

理由は覚えちゃいない。

「お前、千鶴って女と似たニオイがしてるな。お前も葉桜なのか?」

さらに大きく揺れる感情の針。

「千鶴に会ったのか」

「大学とやらに行ったさ。無防備のままでな」

自分がどんな存在かもわからずに、何の対策もしていない。

コートの男は自衛は出来るみたいだがな。

「簡単に危険な出来事が学校で起こってたまるか」

「他の奴らが嗅ぎ付けたら、どうなるかわかったものじゃない」

「何?」

「自分が混血だっていうのに、妖魔から良い様に思われてるとでも思ったのか?よほど、お前の周りには変な妖魔が多かったみたいだな」

「そうかもしれないな」

コートの男は否定はしなかった。