「私は仲良くしたいけどな」

「他の妖魔が聞けば、汚点だと殺してしまうかもしれないけどな」

笹原妹じゃなければ、死んでいるかもしれない。

保守派といえど、人間と友好関係を築いているわけじゃない。

そこには一線が引かれてる。

妖魔は自分達の世界の歴史だけで生きてきた。

純血は気高く白の証。

汚点である混合種が出てきたとなれば、白である歴史に黒の染みが付いてしまう。

殺されることもあるかもしれないが、捕らえられて見世物小屋にでも入れられるかもしれないな。

「刃さんは許せない?混血がいることがさ」

「どうでもいい話だ。誰かに殺されるのなら手を下すまでもない。俺が忌み嫌うのは人間だけだ」

葉桜千鶴は純粋な瞳をしていた。

人間ではない混合種という事実と同時に、殺意を鈍らせたか。

「知ってたという事は連絡でも取り合っていたのか」

「知ってたのは事実だけ。連絡先は知らなかったよ」

秋野が町を選ばなければ、笹原妹と葉桜の従姉妹が出会う事はなかっただろう。

偶然にしては出来すぎてるような気がする。

従姉妹の笹原妹は何か気にかかったような顔をしていた。

「以前、千鶴に近いニオイの混血の誰かと出会ったような気がするの」

「以前っていつのことだ?それに、誰かとは誰のことだ?」

「詳しくはわからない」

覚えていないではなく、わからないとはどういうことだ。