「お姉ちゃんは先生として働いてるんだ」

冬狐が他人をまとめる役につくなんて、想像が出来ないな。

「おい、俺は何で制服を着せられたんだ?」

「同い年なのにおかしいよね」

「おかしいのはお前の頭だよ。俺も教師として学校に行けば良かったんじゃないか」

「刃さんって、頭悪いよね」

余計な事を言った笹原妹にデコピンをかます。

「いったー!刃さん、ひどいよ」

頭が悪いのは自分でも解っている。

他人から言われると腹立たしい。

「頭悪いなんて言うことじゃないだろう」

「でも、刃さんも私の事おかしいって言ったからオアイコだよ」

子供じみたやり取りをしていて、時間は過ぎていく一方だ。

余計な時間を過ごすより、早く秋野に会って任務を受けたい。

「行くぞ」

埒が明かないので、先頭を切って歩く。

「あ、ちょっと、待って」

笹原妹が後ろからアタフタしながらも付いてくる。

玄関のドアを開けると、燕が立っている。

「何をしている」

今まで何処にいたのかは知らないが、死んでなかったみたいだ。

歩いてきたにしては、元気が有り余っているように見える。

「よ、フィアンセ。私はお前が好きだぞ」

「お前と結婚する奴の顔が見たいな」

「お前だよ。目が節穴で男前な愛しいお前」

「朝から腹を立てさせるな!」

カニバサミで燕を倒し、アキレス腱固めで悶絶させる。

「燕さん、相変わらず元気そうだね」

俺の背後から笹原妹が同情しながら覗いている。