「リビングには入れないからここで食べてね」

「リビングに何がある?何を隠している?」

重要な物でもあるのか。

「何もないよ」

「じゃあ、入れるだろう」

「刃さんが被害に合わないように言ってあげてるんだから、気にしないで」

隣に座った笹原妹も朝食を取るようだ。

朝食は薄く切られたパンが焼かれている状態で出された。

パンからイチゴの匂いが漂ってくる。

「毒なんか入ってないから食べてよ。冷めちゃうよ」

「ニオイで解る」

笹原妹はよほどの事がない限りは他者に危害は加えない。

余計な世話を焼くのは好きらしいがな。

パンを口にしながら、静かに朝食を取る。

笹原妹と共に飯をとるなど、俺が代表者に選ばれなければなかった事だ。

「刃さん」

笹原妹がパンを半分だけの状態で皿の上に置いた。

「何だ?」

「刃さんは、何で改革派なの?」

根本的な問題を投げつけてくる。

「人間が嫌いだからだ」

「解りやすい理由だね。でも、刃さんって残酷なことが出来るほど悪い性格をしてると思えないけどな」

「俺は、人間達を滅ぼす」

「刃さんって静かに見えて、熱い心を持ってるね」

本気にしているのかいないのかは解らない対応をして、朝食の続きを取った。

七時五十分前になると朝食は終わり、笹原は片づけを行った。

「じゃ、刃さん、これに着替えて」

「は?」

笹原妹が持ち出してきたのは、笹原妹が着用している物と同じ色をしたブレザーとズボンだ。