「面倒くせえ事になったな」

冬狐と絡みもしばらくないはずだ。

「刃さん、今日行くのは学校でしょ?朝ごはん食べて一緒に行こうよ」

「何で俺が学校に行かなくてはならない?」

笹原妹は不思議な事を言う。

勉強があまり好きでない俺が、好んで学校に行く道理はない。

「だって、秋野先生のところに行くんでしょ?」

「秋野先生?」

「赤坂御堂学園の教師をしてるんだよ」

改革派の仕事をせずに、人間世界の仕事をしてどうするんだ。

「遠回りなことしやがって」

いつまで経っても結果は出ない。

一任されているとはいえ、秋野は何を考えている。

「気付かれないようにするには、結構時間がかかるものだよ」

「時間をかけすぎだ。やる気あるのか」

「刃さんってせっかちだね」

「うるさいぞ、笹原」

腹が減っているのか、苛立ちはいつもよりも大きい。

「お姉ちゃんの事は名前で呼んでるのに、私は苗字なんだ」

「俺達は違う組織だ。名前で呼び合うのはおかしな話だろ」

「つまらないこだわりだね」

昨日以上に面倒だと感じる。

学校に行くまでは我慢するか。

学校の位置もよく解らないし、一緒に行動した方が早く着く。

ジレンマに苛まれながらも、キッチンから部屋に朝食が運ばれてくる。

折りたたまれていた小さな机を取り出し、脚を広げて飯を置く。

笹原母は笹原妹が飯を取りに行くついでに専用の部屋へと連れて行った。