あの後、逞に顔赤くない?って言われて、俺全力で否定して逃げたんだったよなぁ。



「……っ、智!!」

不意に逞に呼ばれた。

いや、実はさっきから俺を呼んでいたらしいが、想い出に浸っていた俺は、全く気が付かなかった。


「ったく、何度も呼んでるのに、ボケーッとしやがって。熱でもあんのかぁ?」

逞が、俺の頬に触れる。

その瞬間、俺の頬は一気に火照った。

「おぃ!?マジで暑いぞ?もしかして、熱中症じゃねーよな!?」

心配そうに俺を見つめる逞。

そんなに、心配するなよ。

暑さのせいじゃない。
お前が触れたから、こんなふうになったんだ……

気持ち……わりぃよな……

逞は知らない。
自分が、俺に恋愛対象として見られている事を。

絶対に……知られては、いけない。


「あははっ。大丈夫だよ!で?何か用だったのか?」

俺は、笑っていった。