人のことは言えないが、京君の良さは閉じ込めて

おくのには正直惜しい。

あたしは他人に関わることを酷く避けてきた。

それは自分にとって大した影響を持つわけでも

なければ興味の持つものでなかったからだ。

サユに出会った時はそれを超える衝動があった。

マコ君に出会ってひたむきな彼を見てたら

ほんの少しでも彼の幸せを願うようになった。

みんなに出会って想像以上にハプニングの

連続だったけど、それ以上に知りたいと思えた。

「そんな京君が自分から嫌いなものを言って

くれることに感動してます。」

無口な京君が言う言葉には聞き逃すのが

勿体ないと強く思う。

「・・・変なこと言うと嫌なこと思い出す。」

例え、小さなことでもそれが京君の心を

あらわす言葉なら一言一句聞き逃せない。

「曇り空にですか?」

あたしにだってあるようにきっと苦手な

ものは誰にだってあるんだろう。

「・・・・・だから、ひよこと一緒に居ると

忘れる気がした。」

その想いに応えましょう。

苦手なものを克服するのは難しいから、

もしも憂鬱で曇り空を見つめるぐらいなら、

「それなら、あたしが曇り空の日は

お話相手になりますよ。」

気にならないように気を紛らわせてあげよう。

中途半端なことは言わない。

京君が気に乗らないならいいんだけどね、

あたしはこう見えて結構忙しい人だし、

暇だったら付き合ってあげるよっていうか、

今日付き合ってくれたお礼は何がいい?

「・・・さっきの奢るっていうの何も

要らないから話し相手に・・・」

「なるよっ、京君のお話相手になれるなら

どんなに忙しくても絶対に行くからね。」

だから、今日みたいにくだらない話をしようね。

曇り空の今日は京君が少しだけクールから素直に

なってくれる気がした。