考えを改めるとスッキリした。
一度冷静になれて良かったと思いながら、
資料室に戻るとコンビニ袋を下げたあたしに
京君は少し目を見開いた。
「あはっ、オレンジジュースが飲みたかった
んですけどね、自販機になくて少し歩いて
来ましたよ。」
京君は少しだけため息にも似た息を漏らす。
「・・・あのコンビニ?」
窓から指を指す京君はピリリとしていて、
あら何かキレるようなことしちゃったのかしらと
京君を再度見つめる。
「そ、そうです。」
袋から自分のオレンジジュースを取り出す。
「この間、1人で行くなって」
「はい、これは京君の分。」
一緒に炭酸飲料を取り出してから京君の近くに
それを置いた。
さっきみたいに近付かないでこの距離から
ジワジワ攻めて行こうと決意した。
「・・・何で知ってるの?」
その炭酸飲料を見て口元を押さえていた
手を膝に下ろした京君。
「ふっほほ、あたしよく見てるからね。」
京君が炭酸飲料に手を伸ばした。
「・・・ありがとう」
やっぱり、照れ屋な京君が本当の京君な
気がするからあたしは諦めません。
「どういたしまして、実はユウヤが教えて
くれたのだけどもね。」
ユウヤは根っからの京大好き野郎だ。
ユウヤほど馬鹿正直にみんなのことを
嬉しそうに言うヤツは居ないと思う。
「・・・・・ふーん」
京君の瞳が凍りついたならあたしは
それが溶けるまで待てる自信がある。
あたしの場合、鳴かぬなら鳴かせて見せよう
ホトトギスですぜ。
努力はきっと実を結ぶのですよ。