掃除それは未知なる物体との遭遇。
サユはあたしの背中から離れず抱きついてきた。
これは普段稀で若干ドキッとしてしまった。
「お姉さん、きゅんってなります。」
サユはあたしの背中に顔を埋めて見なかったフリを
決め込んでいた。
「サユリン、何してんの!?」
ユウヤがギョッとしながらあたしとサユを見比べる。
その声にみんなの視線があたしとサユに向く。
あたしの首を今まさに絞めて来そうな勢いで
しがみついてくるサユは椅子に上ってあたし
にそのままヘッドロックを決め込んでくるぐらい
の勢いで腕を回した。
「さーちゃっん、あたし死ぬっ!!」
嫌いだったのは知ってるし、あたしが一緒の時は
そのまま倒してあげた。
マミーとお家で2人っきりの時に出たと言いながら
電話をするサユの家にダッシュして駆け込んだのを
思い出す。
マミーが駄目なものでサユも駄目だ。
「日和っ、見たでしょ!!」
サユが冷静さを失う。
クールビューティーが崩れた。
「放してくれたら一瞬でカタを付けるわ!」
だから、その首は勘弁してください。
生死を彷徨いそうです。
あなたの力はありえないほどの破壊力持ってます。
首の骨が折れてしまう。
「言ったことには責任を持つのよ!!」
ええ、その勢い忘れない。
「女に二言はありませぬ。」
一瞬、ぎゅって力が加わったサユの手が
スッと離れて解放に命の有り難さを思い知った。
「何の芝居?」
ユウヤがあたしを指さしてみんなに問う。
さぁ?という慶詩の言葉でみんながあたしに
視線を戻した。
そして、あたしはと言うと只今捜索中です。
椅子の上で落ち着きのないサユは早くって
言いながら両手を顔に添えてそれは女の子
らしかったですよ。