ユウヤはポンと肩に手を乗せてきた。

「俺が教えてやるよ!」

いや、全力で断る。

「いい、屈辱的だ。」

ユウヤのような頭がぱーなヤツに何かを

教わるなんてこの身が悲しい。

「なっ、ぜってぇー教えてやる!」

結構だと何回言えばいいんだ。

大体、泳げなくても普段の生活には

支障がないじゃない。

「そりゃ、いいな。沖にまで連れてってやろうぜ。」

ほら、調子乗る馬鹿が居るじゃん。

「いいっ、プールに沖などない!!」

何て恐ろしいこと言うんだ。

足の届かないところに今後とも行く予定はない。

ズカズカ体育館に急いだ。

「サユリン、ヒヨリンってもしかしなくても

海とか行ったことない?」

「今の聞いてれば分かったんじゃない?

あの子、ちょっとストレス溜まると蕁麻疹

出るって聞いてない?」

「それは聞いてるけど?」

「日和は泳ぐのもそうだけど海の人の多さ

で蕁麻疹出ちゃうのよ。」

後ろでそんなやり取りがあるとは知らずに、

体育館に入って行く。

「それすっかり忘れてたなー。」

ユウヤが頭を抱える姿とみんなの何かを

考える感じの姿を横目にサユがみんなと

仲良く話してるみたいでホッとした。

そんなところを微笑ましく思って

いると早速校長先生が壇上に上がる。

この人口密度の多さにベタベタする

熱さの中長い話が始まる。

夏といえばから始まり次に会うであろう

始業式を無事に迎えられることをを心

待ちにしていると語った。

頭はツルツルだけどとてもいい人だと思う。

この校長の居る学校に通えて良かった気がする。