サユは机で鏡を見ながらネクタイに苦戦していた。

まぁ、無理はない。

中学はリボンで高校に入ってからネクタイになった。

サユはこう見えて不器用な女の子です。

まだ、ネクタイは入学式以来付ける時がほぼ

ないと言ってもいいぐらいで真面目に毎日

付けるあたしでもなければサユはリボンを

付けて誤魔化してた。

「さーちゃん、ほら貸してみたまえ。」

サユはイライラしながらネクタイを手に

キレ気味だった。

「日和っ、出来ないっ!!」

ほら、来た。

この可愛さ。

「うん、頑張ってたみたいじゃないか。

少しは理解してるみたいだし、今日は

あたしがやってあげますぜ。」

サユの前に立ってネクタイをスルッと

音を立てて結んであげた。

「ありがとう」

声を小さく言うサユの可愛さにきゅんとしてたら、

後ろでもネクタイに苦戦する可愛い子が居た。

「ナル君、ネクタイ苦手?」

ナル君のネクタイはよじれ捲りのとんでもない

結び方になってた。

「うんっ、何か上手く出来なくて・・」

馨君を見つめるナル君。

馨君は今自分のを結んでる最中。

いつも馨君にやってもらってるのかもしれない。

「じゃあ、貸して。」

ナル君のぐるぐる巻きのネクタイを解く。

ちょっとシワになってるようだけど、

まぁ人のだから綺麗に結んであげよう。

「ひっ・・よりん」

ナル君、顔が真っ赤だ。

もしかして、熱中症か!?

それは大変だ。

この暑さにナル君がダウンなんて、

保健室に運ばねば!!