ナル君に引っ張られて校庭の端にあるベンチに

座らされた。

「うわっ、見て見て!!ナル君、天の川が見えるっ。」

校庭の方は静かで暗くて星が綺麗に映えて見えた。

七夕でもあるせいかはっきり見える天の川に興奮

してナル君を横にはしゃいでしまった。

「ヒヨリン、俺ホントは暗いとこ駄目なんだ。」

そんなナル君を見つめると額に汗が光って、

無理やり笑ってるような気がして心が痛くなった。

「無理してたの?」

さっきから何も言ってくれなかったよね?

無言で暗闇を歩いてたナル君。

すごく心細かったよね。

言ってくれれば良かったのに。

「ううん、ヒヨリンが居たから怖くなかった。」

それは良かったわ。

ナル君に、勇気パワー注入です。

「ナル君が怖いものはあたしが追い払って

あげましょう。」

だから、そんな似合わない顔をしないで下さい。

可愛い君に会いたいです。

「ヒヨリン・・・抱きしめていい?」

ナル君が顔を真っ赤にさせて言う。

「どうぞ、いつも許可を取っていましたか?」

若干震えた手で力いっぱいあたしを抱きしめる

ナル君は暗闇が怖い男の子だった。

「もしかして、停電の時無言だったのって・・・」

いつもあたしはこうやって大切なことを後で

知ってしまうのでしょうか?

「京に引っ付いてたんだ。かっこ悪いよな。」

やっぱり、みんなは仲良しです。

あたしには到底入り込めないほどの仲良しさん

たちですね。

「かっこ悪いだなんて思いませんよ。

あたしだって雷は怖いですから、

誰にだってあると思いますよ。」

怖いものの一つや二つぐらいあるでしょう。

ない方がずっと可笑しいわ。

人間完璧な人は居ません。