にっこり笑うとやっちゃんさんはクスリと笑った。

「何だ、やっぱり日和ちゃんは良い子だね。」

それさっきも言ってなかったですかい?

「いいえ、実は悪い子だったりしますよ?」

「えっ、そうなの?」

「いえ、言ってみたかったのです。」

ふふって笑うと馨君が肩の力を抜いて

ふわりと笑った。

「ごめんね、日和ちゃん怒ったりして。

日和ちゃんが無事なら怒ることじゃなかったね。」

「いや、でも約束破りそうになったのは事実だから

やっぱり馨君が怒るのも無理はないよね。」

あたしだって約束破られたりプンスカするもんね。

「つうか、重症だろ。」

あたしの足を睨む金髪ライオン。

「平気だ、これぐらい大したことはない。」

この間の打撲なんかよりマシである。

「駄目だって、ヒヨリン女の子なんだからな!!」

ナル君、女の子だって言ってくれるのは君

だけしか居ないのかもしれない。

「でも、ほら包帯巻いて貰ったし歩けると

言えば歩ける。」

「どんなヤツだったか覚えてる?」

ナル君、ブラックオーラ襲来してる!?

「お、覚えてないよねっ!!

逃げるのに必死で髪型がすごい変だった

のは覚えてるけど…」

「ヒヨリンをこんな目に遭わせるとかマジ

許せねぇ!!」

「ナル君、落ち着いて!」

この子怖いよ。

急にブラックエンジェルになっちゃうのだもん。

しかも、あたし自身の問題だと思うんだよね。

この怪我だって下駄なんか穿かなきゃ良かった

というだけの話である。

「もう嫌だかんなっ。

ヒヨリンばっかり危ない目に遭うとかもう

絶対に嫌だかんな。」

きゅんっ。

ナル君、可愛すぎる。