みんながやっちゃんさんを睨む。
「俺は何も言ってないけど?」
まぁ、やっちゃんさんは何も言ってなかった。
こっそり電話したのは知ってるけどね。
でも、あたしは聞いてしまったのでね。
不良語はまだ理解不能だが分からない
ことを話していたわけでもない。
「その東地区に踏み込みそうになりまして、」
「あ?おめぇには呆れてモノが言えねぇよ!!」
「いや、ギリギリセーフで入ってないから。
ただその時に何か不良の井戸端会議が始まって
しまってですね。」
あの時確か南がどうとか何とかとにかく
意味不明な会話だった。
「クルミちゃんが言ってた。
みんなはここら一帯を牛耳ってるとかいう
話を少々耳にしまして…」
ピクリと反応したのはユウヤとナル君だ。
「それで日和ちゃんはどう思った?」
「へっ?」
馨君は自嘲の笑みを浮かべる。
「それは俺も聞きたいな。」
やっちゃんさんはサングラスの底に瞳を
隠したまま言った。
「どうも何もカッコイイじゃないか!
どうせなら強くなくちゃ困る。」
「そんな目を輝かせて言われると…」
やっちゃんさん、あたしは変わり者だそうです。
「あたし、実はいうとアクション映画を一本
撮ってみたいという夢がある。」
キリっと言うとやっちゃんさんは苦笑いだった。
「日和ちゃん、多少変わり者だと思ってたけど
相当な変わり者だって気付いた。」
「因みにあたしは刑事ものが好きです!」
「うん、分かった。
お兄さんが話をややこしくしたみたいだね。」
えっ、何のことですか?
盛り上がってきたところじゃないの!!
今から、もっと盛り上がった話にいく
ところじゃないかね!!