マンションに着いてまたやっちゃんさんに

負ぶってもらって最上階の部屋に行くと、

電気もついてない部屋に通された。

誰も居ないのか。

それはそれでやっちゃんさんと2人という

空間がどうも新鮮な気がした。

車の中と大して変わらずっていう雰囲気で、

足についたものを落とそうってことでお風呂場で

足を綺麗に洗ってもらった。

自分でやりますよって言ったけど見えないでしょって

言われて丁寧に洗ってもらった。

すごく悪い気がしたけど、やっちゃんさんは全然

気にしてない感じでそれが救いだった。

人に足を洗ってもらうとかそんなこと今までに

あっただろうか?

何とも失礼な気がしてしょうがなかったけど、

足はやっぱり何か刺さったりしていたのか沁みて

声にならないぐらいの激痛が走った。

「うわっー、これは痛いだろうね。

ガラス踏んじゃってるから切れてる。

後で消毒して包帯巻こうか。」

「どうなってるのかあたしにはさっぱり…」

見たくないわ。

「見て見る?」

「いえ、いいです。」

やっちゃんさんはガハッと笑うと、

タオルで水分をふき取ってくれて

ソファーまであたしを担いで座らせてくれた。

何から何までお世話になって申し訳ないわ。

本当になんてお礼を言ったらいいのか。

「あの、みんなはお出かけですか?」

みんなが居なくて良かった気がする。

こんなことになったのはあたしの不注意だし、

馨君は心配してまた怒るんだろうな。

「ああ、そうなんだけどね。」

「けどね?」

うん?

それは、何ですか!?

何か、嫌な予感がするわ。