知らない内に迷い込んで。
どこかも分からないところに来た。
ネオンに輝く街並み。
今まで来たこともないそんなところ。
心細くてしょうがなかった。
無我夢中で逃げてきただけで、
ただあたしは本当にアイスが食べたかった。
それだけなのに、状況は悪化するばかりで
あたしの予想を遥かに超える。
「こ、来ないでよ!!」
後ろから追ってくる男たちは決して
足を緩めることはなかった。
さっきの倍の速度は出ていてもう
眩暈で倒れそうだった。
「逃がすかオラッー」
「ナメた真似しやがってただじゃおかねぇ!!」
ひっぃぃぃー!!
恐ろしいですよ。
あたしの自業自得だとしても怖すぎるわ。
あんなのに捕まったら本当に何されるか
溜まったもんじゃない。
どうにかしなきゃ!!
あたしが自分でどうにかしないと駄目よ。
考えろ、日和!
あたしには頭脳があるじゃない。
こんなことで泣いたりしないわ。
間違っても相手に屈したりするものか。
自分の身は自分で守る。
これが出来なきゃ、みんなのお傍に居る
ことも今後無理に決まってる。
あたしだってやれば出来る子だ。
だから、諦めるな。
まだ、諦めちゃ駄目なの!!
きっと諦めなきゃいいことある。
そうやって生きて来たじゃない。
その時だった。
無我夢中過ぎて前を見てなかったせいか
人にぶつかってすっころんだ。
それはもう明らかなタイムの消費で追いつかれる
と思いながらぶつかったのはあたしの責任。
謝らないと失礼よねと思って顔を上げた。
「日和ちゃん?」
だから、諦めなくて良かったとそう思えた。