あたしは友達が少なかったけど、友達運というのは
最高についていたと思う。
きっとクルミちゃんには彩乃ちゃんとかそういう素でも
付き合えるお友達を大事にするべきだ。
人のことをとやかく言うほど人間出来てないけど、
クルミちゃんのために言えることは言っておかないとね。
「うん、分かってる。
少し付き合い方変えなきゃだよね。」
「分かっているならもう言う必要はありませんね。
彩乃ちゃんを心配させちゃ駄目ですよ。
そして、あたしもクルミちゃんには危ない
目に遭ってほしくありません。」
「ひ、ひよっち!!」
クルミちゃん、走りながら泣くの!?
うわ~んって声をあげて泣くクルミちゃんは
きっと寂しがり屋な女の子だ。
そして、素直な分かりやすい子である。
目を真っ黒にさせて泣くクルミちゃんは
スピードを緩めることはなかったものの、
化粧がドロドロになってますよ。
「ひよっち、大好き!!」
「はぁー」
あたしもクルミちゃんはそんなに嫌いじゃない。
だけどね、暗闇で微かに助かってる。
外灯で時たま見えるクルミちゃんの顔面が
ホラーで背筋が凍りそうだ。
どうやってそのことをクルミちゃんにオブラート
に言うべきか迷うわ。
ネオンに輝く街。
夜はこんなにも景色が違うんだと改めて思い知った。
あたしは随分と知らないことが多いようだ。
この街のことは実際よく分かってない。
箱入り娘だと誰かが言っていたけど、
確かにそれに似ているかもしれない。
知らなくていいことは知らないままに
育てられた分何故かそのネオンに輝く
街並みに不安を覚えた。
多分、あたしはあのネオンに輝く街に
足を踏み入れちゃいけない。
ただの直感なのかよく分からないけど
そんな気がした。