「そういえば、日和ちゃんに渡したいものが

あったんだ。」

馨君はふと思い出したみたいだ。

何か渡したいもの?

「これ、海の時の写真でサユリちゃんの分も

あるから渡してもらってもいいかな?」

「えっ、うん!!」

写真撮ってたんだ!!

全然気付かなかったよ。

そういえば、あたしも写真焼かなきゃだね。

デジカメ放置してたよ。

みんなに写真焼くとか思ってたのに、

忘れてたら駄目じゃないか。

「な、何か懐かしい…」

この間のことだったのに結構昔みたいだ。

2日間と言っても短いようで長いものだ。

帰りはずっとやっちゃんさんとしりとり

をしていたっけ?

みんな疲れて寝ていたけど、やっちゃんさん

が可哀想だからってあたしは起きてたんだよね。

後、馨君も起きてたっけ?

「撮りたい人が撮ってたみたいで、結構

枚数あったんだよね。」

「そうなんだ。」

焼き増しご苦労様です。

あたしも帰ったら頑張ろう。

インク足りるか不安だ。

「ふふっ、何かすごく嬉しい。

この写真大事にするねっ!」

これは確かビーチフラッグの時だっけ?

途中からユウヤを埋めたり逆に埋められたりして

馨君からお叱り受けたんだよね。

ふわり笑う馨君の落ち着いた雰囲気が

独特で時間を忘れてしまいそうになった。

その帰りは結局日が落ちる頃だった。

夕飯を買いに行くからって途中で馨君と

お別れして帰った帰り道写真を見て口元が緩んだ。