そこに現れたのはピンク色に近い赤い髪を
揺らして不安そうな顔をする馨君。
見間違えるはずなかった。
「か、馨君っ!!」
どうにか気付いてもらえないだろうかと思って
声を張り上げると馨君がこっちに視線を移して
安堵の表情を浮かべるとすぐにあたしのところに
やってきた。
「急に居なくなるとかビックリするよ?」
「うん、ごめんね!!」
人がまるで反応違うのはどういうことだ!!
馨君が居るのと居ないのとじゃ全く違う。
「誰かに連れ去られたのかと思ったよ。」
「それはない!!」
そんなことありえないですよ。
あたしを連れ去っても得しない。
損しかしないんじゃないか?
人があたしたちを避けるのは馨君が
偉人にでもなったのだろうか?
女の人はすごいうっとりした顔してる。
「こんなことなら一緒についてきて
貰えば良かったかな。」
「どこに行ってたの?」
馨君と一緒だと人がよけてくれる。
さすが、馨君パワー。
「鍵を直しに行ってたんだけど、
向こうの人だかり通らなきゃならなかった
から日和ちゃんにはキツイだろうなって。」
馨君の優しさに気付かなかったあたしの馬鹿!!
そこさっき流されたところだよ。
馨君の親切心をあたしは踏みにじった。
「馨君、あたしを殴ってくれ!!」
もうこんなあたしのためを思ってくれるとか
さすが馨君だよ。
紳士過ぎて大人な対応してくれるからあたしが
余計子どもっぽいな。
「日和ちゃん、とりあえず落ち着こうか。」
うん、馨君ブラックが出てた。
目が笑ってなかったよね。