というか、もう心折れた。

恐怖で一歩も動けそうにない。

「日和ちゃんがそこから見えるものって何?」

えっ、馨君捜索してくれちゃうの?

それはさすがに悪いよ。

「えっ、あ、ごめんね!!

馨君はその場に居てくれればいいから。

あたしを見つけるなんて結構難しいもの。」

この人だかりで見つけられたら奇跡の目だよ。

「そうでもないよ。

多分、見つけられると思う。」

だって、あたし身長すごい低いよ。

特別目立つような容姿でもない。

そんなあたしを見つけられたら馨君は

すごい超人レベルだと思うんだよね。

「えっとね、銀行が見えるかな。

後ね、ギターひいてる人が近くに居て、

コーヒーショップが行列でねっ。」

それでも、ダウン寸前だった。

馨君には申し訳ないけど、遠くまで

きてしまったことを後ですごい謝ろうと思う。

「あ、後は何があるかな?えっとね・・・」

上手い説明が出来なくて人にぶつかられて

潰れそうになったりでとにかくぐったりだった。

もうギブアップしたいです。

ギターを公然の場で披露している人が

何か見たことある俳優さんと同じ顔している。

すごい人の集まり方だな。

この人目当てなのか!?

「むふっ」

また波再来で人に押しつぶされてぺちゃんこだ。

ありえないよ!!

ここから動いたらしょうがないじゃん。

ど、どうしよう。

そんな時だった。

少し離れたところが急に道を作り出して、

まるでそこに誰かが通りますよみたいな

そんな感じになった。

一体、どんな芸能人だろうか?