でも、あたしは多分見失わないと思うんだよね。
馨君、結構目立つと思うしね。
「そしたら、あたしが馨君見つけるから安心してね!」
ふふって笑うと馨君も釣られて笑ってくれた。
「でも、隣歩いてくれる?」
「いいの?」
馨君はふわりと笑うとそうしてくれると安心するんだけどな
って言ったからそうさせて貰った。
駅前に行くと夏休みってこともあって親子連れやカップル
友達同士などたくさんの人で賑わっていた。
「どこかに用事でもあるの?」
「あ、うん。ちょっと、ここで待ってて貰ってもいい?
戻ってきたらお茶でもしよう。」
そう言うと、馨君は颯爽と人ごみに消えていった。
さて、馨君が来るまでどうしようかな。
そうだ、駅前に新しく出来たとかいうお店
なかったかな?
少しぐらい動いても大丈夫だよね。
馨君が戻ってきたら電話とかしてくれる
ことを考えてじっとしてられないあたしは
駅前の賑やかなお店が立ち並ぶところを梯子した。
それにしても人が多いこと。
ちょっと、人酔いしちゃいそうだ。
可愛い雑貨屋さんを見ているとクレープ屋さん
に並ぶカップルを見た。
どうもあの手のは見てるだけでいい。
自分がとか考えると想像つかないわ。
サユとマコ君は順調そうだし、みんな青春を
謳歌しているみたいで何よりだ。
あたしはああいう甘ったるいのはごめんだ。
自分にはとてもじゃないけど縁がない。
ハッ、この貯金箱可愛いな。
それにこっちのペンケースもまたいい。
今度、サユと一緒に来るときにでも買おうかな。
今日はとりあえず下見ということで見るだけに
しておこうかな。
う~ん、すごい甘い匂いがする。
何かこの甘ったるさはクラクラする。
うげっ、ギャルだわ。
クルミちゃんをしばらく見てないからギャルに
動揺した。