とにかく、良い人であることは分かる。

「そうでもねぇーよ。おめぇー人見る目

ないんじゃねぇの?」

なっ、お世話になってる身だろうが!!

「何でそんなこと言うの!?」

まるで悪いヤツだって言うみたいな

そんなこと慶詩の口から聞きたくなかった。

「俺にとっては確かに恩人だしな。

良い人だとは思ってるけどな、おめぇーは

簡単に心許すんじゃねぇってことだ。」

それはやっぱり慶詩もあたしに境界線を

引いてるってことなの?

そんなに信用されてないんだね。

やっぱり知り合ってまだまだなのかな?

「言っただろ、俺たちとつるむってのは並大抵

の山登るもんじゃねんだよ。悪者と一緒に居る

意味をおめぇはちっとも分かってねぇよな。」

悪者だなんて思ってないもん。

どうしてそんなこと言っちゃうの?

あたしがそんなに信用ならないの!?

じゃあ、どうしたらいい。

「分からなくたっていいもん。

エベレストだって諦めずに登ろうとすれば

きっと登れる日が来るんだ!!きっと分かって

くれるはずだってあたしは信じるよ。」

あたしは信じるよ。

みんながどうしてそこまで悪者だって言い張る

かはその内知ることになるかもしれない。

でも、本当に悪者ってもっと根っからでしょ?

言うほど悪者じゃないじゃんか!!

いつかそんなみんなを認めてくれる人で

溢れ返っていることを疑わないよ。

「バッロウー、そうやって簡単に信じんな。」

な、何故だ!?

何がいけないのかあたしにはさっぱり分からない。

「か、簡単なわけあるかっ!!」

あたしだって必死になって理解したい。

だって、今までどうだって良かったんだ。

全然気にもならなかった。

そういう自分を動かした何かをつきとめたい。