「いや、これスピード下げたんでしょ?」
慶詩はこれじゃ遅いんじゃないの?
「それでもすげぇーなおめぇー。」
そんな尊敬されちゃう!!
「やっぱ、タマついてんじゃねぇか?」
むしろ、貶された!!
あたしは女の子ですってば。
「ひ、酷過ぎるわ」
慶詩の馬鹿者!!
いくら思ってても口に出すなってんだ。
落ち込み方激しいからな!!
「んでも、おめぇーと来る価値あったな。」
えっ?
なっ、何だね!!
「よくここに来るんだ?」
慶詩がバッターボックスに入った。
入れ替わりに今度は慶詩が披露して
くれるみたいだ。
ターヤンさんはスピードを上げた。
あたしの比じゃないスピード出てるんですけど!?
効果音つけるならビュオーンだね!!
「まぁな、気分転換にいいし。」
バットを振る慶詩の後ろ姿を見守った。
「落ち着かねぇ時とかはよく来るんだ。」
「へぇ~、慶詩って何だかんだ言ってターヤン
さんと仲良いよね。」
髪を掻きながらうるせぇなっていう慶詩
は多分普通の優しいとは違うんだろうな。
慶詩は優しいが上手く出来ないのかもしれない。
不器用っぽいもん、あっ、でも料理とか作れちゃう
から器用でもあるのか!
やっぱりただ単に相当あたしが嫌なだけなんだろうな。
それはそれで凹む。
口で直接言われてないだけマシといえばそうなのだが、
これからもこんな感じが続くとか…
考えただけでも恐ろしいではないかね。
「そうか?」
「うん、みんなをよく知ってるって感じもするよね。
ターヤンさんもやっちゃんさんもとってもいい人だ。」
大人である2人が確か監督者とかいう役職なんだよね。
それは一体何の監督するんだ?
野球チームでも組んでるのか!?