「おーい、どこに行く気なんだね?」
もう一人でスタコラ行くのやめてくれない。
荷物を持てとは言わないからせめて待ってくれよ。
これ、絶対馨君やナル君だったら持ってくれてた!!
あの金髪ライオンめ。
呼びつけた癖にちっともあたしのことを考えちゃいねぇぜ。
「んあー?」
糞野郎!!
あんな金髪なんてハゲてしまえ!!
つるっぱげになったら鼻高らかに笑ってやるわ。
「だから、どこに行ってるの?」
公園の近くでもないのかしら?
「着いたら分かるだろー。」
イラっ
何であんたはそんなにイラっとさせる天才なの!?
もしかして、慶詩は相当あたしが嫌いなのか?
これは地味な嫌がらせってヤツなのか!!
「おいっ、ここだ。」
グルグル考えてたら慶詩がひょこっと顔を出す。
先に入ってるとかお主!!
な、何ここは?
何か音が聞こえるけども…
「ハッ…ターヤンさん?お久しぶりです。」
ぺこりと頭を下げると入ってすぐのところの
カウンターで受け付けをしている金髪オールバック
のイカツイターヤンさんに出くわした。
「おっ、慶詩と?」
何、その疑惑の眼差しは…
慶詩はいつものとか言って先にどっか行ってしまった。
「怪我はもう大丈夫なんだってね。
馨から聞いてたよ。」
「あ、はい。その節はどうもお世話になりました。」
ターヤンさんには怪我の手当てしてもらったからな。
足も診て貰ったし、恩人だ。
「ああ、気にしないでね。それお肉入ってるんだっけ?」
あたしの買い物袋を指さすターヤンさん。
「はい?そうですけど。」
何故、ターヤンさん知ってるの!?
まさか、買い物袋から見えてた?
透けてたパターンですか!!