打たれ強い性格だもの。
伊織君が他の女の子とお色気世界を満喫する中、
あたしのような女の端くれもんのちんちくりんを
認めてくれてるなら今はそれで十分じゃないか。
何れ超えて見せるわ、エベレストの天辺!
「おめぇーのそういうところなんじゃねぇーの?」
はい?
どういうところが何ですかね?
「馬鹿正直っていうかユウヤ以上の真っ直ぐな
おめぇーだからな、俺とは違うなー。」
「伊織君は遠回りな人なの?」
伊織君の顔は見えないけど、背中から感じる
伊織君はやっぱりちょっとまだ分からない
ことが多そうだ。
「そうだな、俺はおめぇーの真逆のタイプ
じゃねぇーの。」
やっぱり伊織君は慎重派なんだよ。
あたしは考える前に行動に出ちゃうタイプね。
それだからすぐに考えれば良かったって後悔
してしまうこともある。
「おめぇー言ってたよな。」
街並みが見えてきた。
病院がどこらへんにあるとか伊織君知ってるのかな?
でも、あたし知らないから伊織君は知ってるんだよね。
本当に悪いことしちゃったな。
伊織君だって海で遊びたかっただろうし。
「伊織君、あたしのせいで海で遊ぶはず
だったのに何かごめんね。」
今頃、ビーチバレーでもしてるのかな?
その輪に伊織君も入りたかったよね。
「おめぇーが謝るなよ。結局安全配慮が
足りなかったのはこっちに非があんだからよ。」
「でも、水着美女・・・嫌な思い出として
残ってしまったら・・」
伊織君はため息を吐く。
「俺の言葉遮っちまうしよー、本当におめぇー
は妄想ばっかだよな。」
「悪かったわね!!」
ぷりぷり怒る。
「でもよー、謝るなよな。こうやっておめぇーと
話せたんだから嫌な思い出でもねぇよ。」
赤信号で止まるバイクに伊織君が振り返った。