こういう時、経験値が低いっていうのは
厄介なことだと思う。
友達が急にこんなに出来たことにも自分の
中では追いついていけないレベルのことだった。
それを、自分が気長に待つと思いながらも
みんなのことを知ろうとするのはどうも
本当にエベレストに登るほどの苦労が必要
とされているみたいだった。
こうしてるばかりじゃいけない。
何か適当に話をしなきゃね。
森にクマさんは居るか・・・じゃなくて、
水着美女はどんな感じが良いのか聞いて
見ようかしら?
う~ん、これを聞いてもあたしはどう返答
して良いのか分からなくなる気がする。
やめておこう、高度な会話は難しいのであります。
「あ、あのさ、ひょえっ」
一瞬何かにバイクの車輪が当たって伊織君の
背中にヘルメットごとアタックした。
「おめぇー、いてぇじゃねぇーの。」
ごめん。
チラリと後ろを振り返ると石が道路に
置いてあった。
あ、あれは何気に大きかったぞ。
小石とは言えないよね。
事故でも起きたらどうするつもりなんだ!!
誰か、あれを拾っておくれよ。
「伊織君、スピード落としてくれてる?」
さっきからずっと気になってるの。
伊織君、もっと早くスピード出せたよね。
最初とかビューオンと吹っ飛ぶぐらいの
勢いでさ華麗な手さばきでカーブも曲がっ
ちゃったりしてさ。
「おめぇーが後ろ乗ってっからな。」
それで落としてくれてたの?
どうも腑に落ちなかった。
伊織君、急にお腹でも痛くなったのかなって
そう思ってしまった。
そしたら、帰りに正露丸買ってあげようと
思っていたけどどうもあたしの勘違いでした。