とにかく、緑いっぱいの景色が霞んで見える。
綺麗で良い景色なはずなのに全然景色が良く
見えないんだよ。
こんなに怖いドライブとか絶対モテねぇぞ
フェロモン魔導師!!
果てしなく続く森は敷地がどうも広すぎる。
あんなところを散々迷っていたとは生きて
帰ってこれて何よりだ。
もしかしたら、あたしは帰って来ぬ人と
なっていたかもしれないと思うとゾッとした。
伊織君は何も喋らないこと数分。
こういう時はどんな会話をすれば良いのかしら?
そういえば、伊織君が帰り道送ってくれる時は
いつも何だか話すことが浮かばないんだよね。
その日にあったくだらない話をしてみても、
伊織君はきっとつまらないんだろうなって思う。
きっと、伊織君はあたしと居ると疲れちゃうんだろうな
ってずっと思ってた。
女の子大好きな癖に難しいタイプの男である。
慶詩みたいに喧嘩出来るような感じでもない。
慶詩が加わることによって伊織君は冗談通じる
男になれるとしたら今の伊織君とはどう接すれば
正しいのかよく分からない。
伊織君は普段女の子と話してる時ほど輝いてる
時はないけど、あたしと喋ってると退屈なんじゃ
ないかなってぐらいで正直2人っきりになるのは
気まずいものがあった。
苦手意識を持ったままじゃ伊織君のことを
知ろうにも中途半端になる気がする。
みんなと仲良くしたいとは思ってる。
でも、伊織君は誰よりも難しい気がする。
簡単に行く相手だと思っても居ない。
例えるなら、障害物競争でドーナッツをくわえながら
フライパンに乗せたスーパーボールを落とさないよう
に走ってゴールするぐらい難しいことだと思う。
こ、このまま何も話さないとかこれからの病院の
待ち時間もこんな感じな気がする。
な、何か話題はなかっただろうか?
気まずいとかどうやったら穏やかなムードに
持って行けるか勉強してくるべきだったわ。