最近、お弁当作って一緒に食べるを一週間に
一度会ってするけど、まだ藍ちゃんのことは
全然知らないことが多い。
藍ちゃんの瞳が揺れてピーマンから逸らす。
「あたし食べちまいますよ。」
ピーマンを箸に掴み口に放り込む。
苦みと一緒に野菜の甘さが口に広がった。
「・・・・何か、ごめん。」
藍ちゃんが謝ることじゃない。
むしろ、気付かなかったあたしが悪い。
「藍ちゃん、好き嫌いなんて誰にもあるんだよ?
遠慮なんかしないで言ってくれたまえよ。
あたしが食べられるものだったら食べてあげる。」
この胃袋どこまでも大きいですから。
甘いものじゃなきゃね。
「ふふっ、・・・ありがとう。」
藍ちゃんにありがとうって言われると嬉しい。
「どういたしまして。」
サユ以外の女の子の友達は藍ちゃんが一番
仲良くしてくれてる。
違う学校同士だけど何かと藍ちゃんが気になって
しまうもので一方的なメールを送るあたしに
一々メール返してくれる律儀な藍ちゃん。
「あ、そろそろ行かなきゃ。」
藍ちゃんとお茶を飲みながら読書していたら
随分と時間が経っていたらしく腕時計を見て
藍ちゃんは帰り支度をした。
「それじゃあ、またね~!」
「・・・・うん」
藍ちゃんはジョセフィーヌの頭を撫でると
手を振って帰って行った。
忙しい子みたいだけど、決して口に出さない。
疲れたとか絶対に言わない。
最初に会った時はそれこそ絶対に弱音を
吐かない子に出会ってしまったようだ。
あたしも言わない方だから少し心配になる。
あたしはジョセフィーヌに愚痴を洩らす
からストレス溜まらずケロッとしてられるけど
藍ちゃんはきっと辛いかもしれない。
少しでも力になれればいいんだけどな。