「そんなこと今に始まったことじゃないけど?」
そうなんだけどね、よく考えて見ると毎回
人を巻き込むこの妄想ばかりのせいで嫌な
思いをした人が居るかもしれない。
「今日ね、サユのこと話したの。
サユとあたしが出会って仲良くなるまでの
話をしたんだ。」
「うん。」
サユはあたしの言葉に耳を傾けて相槌を打った。
「それでね、いつだったか京君と2人になった
時にね、焦らずサユの時のようにじっくり気長に
待っていようと決めたことを思い出した。」
時間が掛かってもいいからってそう思った。
「うん、日和は根性あるもんね。」
でも、あたしと一緒に居ると妄想癖もそうだけど
迷惑なのかなって思ってみた。
今日だってあたしに気を使ってなのかよく
分からなかったけど、みんな海に来たはず
なのに海に入らなかった。
「だけど、あたし今日たくさん迷惑掛けたの。
遅刻したし、海には入れないかもしれなかった
せいでね、みんな海に入ってなかったの!
折角、海来たんだから入りたかったのかも
しれないでしょ?それに、妄想ばっかりして
嫌われたかもしれない。」
もっくんを困らせる妄想とか度々トリップ
するあたしはとんでもない失態ばかりだ。
「嫌いだって言われたの?」
サユは頭を撫でてぎゅうっと抱きしめてくれた。
「・・・ううん、でも、あたしだったらきっと
疲れちゃうと思ってね。」
面と向かって言われたら正直ショックで
ヤケクソのヤケを起こして町内を鍋とお玉
持ってカンカンして迷惑掛けてやろうと思う。
「日和が自信ないとか珍しいね。
あの人以来って感じであたしとしては
そんな日和を見れるとは思わなかったけど。」
ああ、あの人か。
確かに、自信を無くしたのはそれぐらい
だったかな?