サユがオドオドするあたしを引きずる形で
みんなと離された。
「悪いけど、日和を一旦返して貰うわ。
ちょっと、愚痴に付き合ってもらうだけよ。」
サユの言葉にキョトンとしながら手を引かれた。
トボトボ森の奥に進んでいくサユに引きずられる
こと数十分後ぐらいだろうか。
「日和、何か考え事してる?」
サユはやっぱりあたしをどこまでも分かってる。
こんなことじゃ、いつかの日のことまでサユに
バレてしまう日が来るんじゃないだろうか?
「あんたと何年の付き合いだと思ってるのよ?
白状するまで今日はここから動かないからね。」
丸太の上に座るサユに手を握られたまま、
一緒に座ることになった。
「何か言われたの?
日和に嫌なことでもした?
もし、そんなことしたならシメてやらないと!!」
サユ、ごめん。
あたし弱気になり過ぎてた。
自分に自信がなかったんだと思う。
こんなことじゃ駄目だ。
みんなには散々自信を持てとか偉そうな
こと言った癖に本人がこんな弱気じゃ
ちっとも説得力に欠けるよね。
「違うの、サユ。」
何も知らないならそれでいいじゃない。
あたしのこと変だと思っているのだって
今に始まったことじゃないもんね。
「じゃあ、どうしたの?
あたしに話せないことでも出来た?」
サユに話せないことか。
実はたくさんあるかもしれないな。
でも、今はそんなことじゃない。
「急にあたしの妄想癖は人に迷惑を
かける産物だって気付いたの。」
サユはそんなあたしとよく仲良くしてくれたよ。
あたしだったら、引いてたかもしれない。
頭可笑しい子だって思われても全然可笑しくない
ことだったんだね。