そしたら、一緒にかき氷作ろうかって
笑う父さんに笑顔で頷いた。
かき氷機を取り出してお兄ちゃんと氷を買いに
スーパーまで一緒に歩いた。
『ひーちゃん、嬉しい?』
すごく嬉しいよ。
こんなことはもうご免だけど、父さんの気持ちが
すごく伝わってきた。
『うんっ、』
たくさん氷を買って帰ると父さんが手ぬぐいを
巻いてかき氷屋さんのおじさんみたいになってた。
お兄ちゃんと一緒に氷の袋を開けてかき氷機に
押し詰めた。
兄ちゃんは皿を出してくれたりして祭りよりも
楽しかったような気がする。
家族みんなでかき氷を食べた。
一緒に食べたオレンジ味のかき氷は一生忘れる
ことが出来ないほど美味しかった。
その日からあたしの好きな食べ物にはオレンジ
味のかき氷が独占した。
甘くなくて父さんの頑張った証の詰まった
かき氷はその夏のおやつによくなった。
毎回、父さんと一緒に食べた。
そのたび、父さんは嬉しそうにあたしを見てた。
多分、すごく美味しそうに食べたからだと思ってる。
そんな思い出のあるオレンジ味のかき氷は
特別大好きなんです。
父さんと兄ちゃんのことをよく思い出す。
夏の季節は本当によく似合う人だから、
今どこで何をしていてもあの夏の日のことは
きっと忘れないと思う。
『ひーちゃんが笑うと父さん嬉しくて
アフリカまで走って行ける気がする。』
そんなフザケタ父さんが笑ってくれるなら
あたしも嬉しいと思うよ。
さすがに、アフリカまで走って行くのは
無理だけどさ。
オレンジ味のかき氷、また一緒に食べたいね。
次、帰ってきたら一緒に食べてね?