『ずっと一緒に来てあげるよ?』

子どものあたしが父さんと来ない日を

思い描くことなんてなかった。

『本当に信じちゃうぞ。』

大人になったって一緒に行ってあげる。

『ひーちゃんは可愛いからな。

父さんの宝物だからいつか父さんじゃない

人のところに行っちゃうとか言ったら父さん

泣いちゃうからな。』

そんな日が来るんだろうか?

父さん以上に好きな人が出来ることが

想像出来ないよ。

『そーしたら、父さん慰めてあげる。

だって、父さんには笑ってて欲しいの。

日和は父さんが大好きだからね。

父さんが泣いてたらすぐに駆け付けるんだよ。』

『ひっ、ひーちゃ~んっ』

グズグズ泣く父さんだって大好きなんです。

だから、約束ね。

父さんと一緒に夏祭り。

毎年楽しみにしてるから。

一緒に行こうね。

どうして、こんな時に思い出しちゃうんだろう?

「あ、日和!」

サユを祭りの帰り道見かけた。

そのまま、サユのお家に行って遊んだ。

でも、心ここに在らずだった。

サユは心配そうに聞いた。

サユにも分かるほどあたしは落ち込んでた

んだってその時初めて気付いた。

みんなに心配掛けるなんてよくないって

無理やり愛想笑いをした。

そんなあたしを帰る間際までサユは心配

してくれたような気がする。

サユの家からの帰り道兄ちゃんとお兄ちゃん

と一緒に帰る道でついに我慢してた涙が零れた。

『なぁ、ひーちゃん今日は楽しくなかったか?』

お兄ちゃんのその言葉に号泣した。

あたしは、そんな言葉をお兄ちゃんに言わせた。