***




日和を守るって決めたのはこの時だ。

あたしを守るとか言う日和にいつも

あたしは助けられてばっかりだ。

守るって決めたのに結局あたしが

日和に守られてばっかりだった。

小さい体の癖に器が大きいっていうか、

悔しいけど日和の芯の強さには敵わないと思った。

「さーちゃん、足が速いじゃんよー」

黒髪のヤツが現れた。

「あんた、何でここに居るのよ?」

また日和を傷つけたかもしれない。

そう思ったら、居ても立っても居られなかった。

それに、軽蔑されたと思った。

あたしの暴走を見るといつも周りから人が居なく

なるんだ。

「そりゃ、謎のイケメンヒーローだから。」

「自分でイケメンとか言うヤツがイケメンな

わけないわよ。」

ここに居る村田だって日和に助けられた1人だ。

あの子の純真パワーにはことごとく謎の魔法が

掛かっている気がしてならない。

「大体、見てたから知ってる。

さーちゃん、あんまり自分を責めるなよ。

ひーちゃんが今すげー心配してたからな。

あの時みたいにさーちゃんが傷つかなきゃ

いいってそんな目で訴えられちゃ俺もひと肌

脱がなきゃならねぇって・・あんま出番ないからさ・・」

あの時か。

「日和は?」

「今、ナオも来てんだ。

それに、アイツらも一緒だから大丈夫だろ。

とりあえず、そこ座って話しようか?」

村田が階段の段差に腰を下ろした。

向こうの盛り上がったところよりも

こっちは人が少なくて頭を冷やすいい機会だった。