全然気にしてなかったわけじゃなかった。

様子が可笑しいと思った。

ブランコに乗ってその子が気になった。

どこからその身体能力?

そう思うぐらい結構高い木に登っていた。

危なっかしい手つきで見てられなかった。

落ちちゃうじゃないって大人を呼ぼうかと

も思った。

「待ってて下さいね、きっとすぐ行きますから。」

それでも、何の躊躇もなく登った。

怖がりもせずに諦めることなく、

一生懸命ただ登った。

よく見るとその木の上には子猫が降りれなくなって

鳴いていた。

日和は昔からすごく優しい子だった。

困っているとほっとけない子で、

無茶をしてでも助けようとした。

自分の力量の限界も考えずに真っ直ぐだった。

木の上にようやく登れた時はホッとした。

あの子が落ちなくて良かったと思ったんだ。

子猫を抱きしめて大丈夫ですよっていう

あの子に惹かれた。

あんな子が友達になってくれたらあたしは

幸せになれるかもしれないなって思った。

その後、木から降りるのが困難になって

困ったあの子を見てられなくてお兄ちゃん

を呼びに行った。

透真さんが血相かいて来た時は正直ビックリした。

「あれ、兄ちゃん?」

どうしましょうかと子猫と悠々と座談会を

開いていた能天気なあの子を見た時はため息が

出たと思う。

「ひーちゃん、危ないじゃないか。

ほら、兄ちゃんの元に飛び込みなさい。」

そして、改めて透真さんがシスコン兄だと

思い知らされた。

それから、少し気になる子の位置に確定した。

あの子が、友達になって下さいって言って

来た時は正直嬉しくて泣きそうだった。

でも、あたしなんかと付き合ったら傷ついちゃう

と思って戸惑った。