その子のお兄ちゃんもよく家に遊びに

来ていたような気がする。

でも、あたしは人見知りが激しくて

部屋に閉じこもって会うことはなかった。

トイレに来ちゃったとか言って部屋を

開けられた時はこの人何って思った。

『さーちゃんって呼んでいい?

家のひーちゃんと同じ歳の女の子が

居るっていうのは聞いてたんだ。

良かったら、家のひーちゃんとも

遊んであげて。』

そう言って笑う透真さんに初めて会った。

すごく人懐っこいイメージの人で、

だいぶ変わってる人だと思った。

お兄ちゃんがよく学校から帰ると、

透真さんのありえない事件簿を話して

くれたから毎回笑えた。

「・・・あたしと仲良くすると傷つくよ?」

大事な妹なんだという透真さんの言葉を

遮ってしまった。

「どうして?」

今、思うと日和の家はみんな素直というか真っ直ぐ

というか裏がないというのが正しいのか分からな

いけど、みんなイノシシのように真っ直ぐにしか

走れない感じがした。

「・・・どうしても。」

大事な妹ならあたし何かと関わったら怪我だけじゃ

済まなくなる。

あたしは別に怪我如きで泣かない。

でも、普通だったら泣くものじゃない。

「気が向いたらでいいよ。

さーちゃんにはきっとウチのひーちゃんの良さを

分かってくれる気がするから。」

その日はそれだけだった。

その次の日ぐらいだっただろうか?

その子が普段はおとなしくベンチで

絵本を読んだりしているのに木によじ登って

いるのを見た。

最初は、いつも大人しい子が木に登るとか

心境の変化でもあったのかと勘違いしてた。