「・・・・・本当に残念なヤツだな。」
慶詩に同情されるなんて心外である。
「でも、日和ちゃんは昔から無茶をする子だったんだね?」
無茶?
そんなことしたっけ?
「その時サユリンが来なかったらヒヨリンボコボコだった
かもしれねぇよ?」
確かに、ユウヤの言うとおりだ。
「それでも、間違っているのはスネ夫たちの方です。
サユに土下座させるなんて男の子として失格です。
女の子に暴力を振るっちゃいけないと習うものです。
暴力反対とデモ行進をするべきだったわ。」
あの日、殴られることが怖かったわけじゃない。
殴られたら殴られたでスネ夫たちのことを
ダディにチクッてやろうとも思った。
「ヒヨリン・・・・・・」
「あたしは例えその時スネ夫たちにボコボコに
されても、サユが傷ついた顔をしなきゃそれで
良いかと思ってた。」
いつもサユはみんなに怖がられるたび寂しそうだった。
「だけど、その時サユの涙を見て初めて
あたしが間違いだったと気付いた。
あたしがサユを泣かせてしまったんだと
そう思った。」
サユが泣くときは決まってあたしのことが多かった。
「サユは実は泣き虫で寂しがり屋な女の子で、
そんなサユを笑わせようとあたしは頑張ること
をやめないと決めた。」
サユの笑顔を守るためあたしはダディに特訓
してもらった。
「えっ?」
馨君、リピートアフターですね。
「戦う戦士になると誓ったのだ。
サユに守ってもらうだけでは駄目だと気付いた。」
自分が強くなって守ってあげたいと思った。
サユを泣かせる敵からこのあたしが正義の
戦士になってやろうと考えが辿り着いたのだ。
あたしが傷つくとサユは悲しむからそれなら
あたしは誰かに傷つけられなきゃいいと考えた。