それに、名前を呼んでくれた。

それだけですごく嬉しかった。

「いいえ、どういたしましてです。

それでは、一緒に帰りましょう。

心配なので、怪我はきちんと手当

するべきです。」

サユと初めて一緒に帰った日のことは

今でも覚えてる。

すごく緊張していたあたしと比べて

サユはとても普通だった。

「サユリ~」

あら、お父さんが出てきてサユちゃんに

抱きついた。

「ちょっと、暑苦しいから止めてよ。」

「全くさーちゃんどうしてすぐ手が出ちゃうんだ。」

そんな2人のやり取りを見た。

「ひーちゃん、わざわざありがとう。」

大きな手で頭を撫でられた。

ダディはとても怖そうに見えて優しかった。

「いいえ。」

その日はその後すぐに家に帰った。

兄ちゃんたちにその日のことを話すと

一緒になって喜んでくれた。

それから少し経った頃だった。

サユちゃんとはあまり話せていなかった。

何故なら、あたしが風邪をこじらせたからだ。

丁度、熱が下がって元気になった時に近所の

少しスネ夫に似た男の子に公園に呼び出された。

何かあったのかと思って迷いなく行った。

サユちゃんがまた喧嘩でもしたのかと心配

になったからその時はそれが罠だって気付かなかった。

「やーい、ちびっ子。

お前、サユリと何かあっただろ?」

サユがその場に居なくてとてつもなく

安心した。

「用がないなら帰ります。」

「帰らせるわけないだろ。

お前殴ってサユリに土下座させてやるんだ。」

スネ夫は黙って下さいと思ったその時、

スネ夫に足を引っ掛けられて転ばされた。