「それは、ひーちゃんが頑張るしかないな。

毎日、さーちゃんをずっと遊びに誘うとか

ラブレターを書くとかな。ひーちゃんが

どうしても友達になって欲しいって思うなら

少しさーちゃんに冷たくあしらわれても

根気よく頑張ればきっとひーちゃんと

仲良くしてくれる日が来る。」

手を繋ぎながら見たオレンジ色の夕日

はあたしの誓いを立てるには丁度良かった。

「じゃあ、頑張るの。日和、さーちゃんと

仲良くなれるように頑張る。」

そう言ってふんっと鼻を鳴らすあたしに

兄ちゃんはきっとなれるよって言ってくれた。

その夜からさーちゃんにラブレターを書く

ことにした。

ラブレターの書き方が分からなくて兄ちゃんや

お兄ちゃん、父さんにまで聞いた。

最初はお兄ちゃんにも父さんにもビックリされた。

「父さんは認めないぞ!」

「ひーちゃん、そんな男は駄目だ。」

事情を知らない父さんとお兄ちゃんにまで

サユのことを言うことになるとは思っても

見なかったがこの時友達になりたいって

思った子が出来たことに胴上げするほど

父さんもお兄ちゃんも喜んでくれた。

だから、ラブレターを書くのをいつも

見守ってくれた。

父さんや兄ちゃんたちが言うには、

自分の気持ちをありのまま書くことだった。

毎日さーちゃんにラブレターを書いて、

朝にポストに入れた。

返事はもちろん返ってくることはなかった。

それでも、めげることなく毎日毎日、

雨が降っても雪が降っても風が吹いてても

休めることなく毎日ポストにラブレター

を入れることを続けた。

遊びにも何度も誘った。

そしたら、たまに顔を出してくれるようになった。

マミーが上がって行ってと言ってくれた。

それでも、恐れ多いから玄関でサユの顔を

見るだけで十分だった。