「お前は俺が怖いと思うのか?」
ちぃー君は一体どうしたらそんなこと言えるんだ?
今、あたしはサユのことを聞いたよね?
違ったかしら?
「・・・・怖くないけど?」
サクサクかき氷を掬うあたしの近くにみんなが
座ってきた。
「日和ちゃん、俺たちが幻滅したとか思ってる?」
馨君は優しく微笑みながら言った。
「サユはね、昔から喧嘩早くてその土地では結構
恐れられるほどの実力の持ち主だって前にサユから
聞かされたことがあった。」
ガキ大将ってヤツだ。
ジャイアンみたいだったって言って笑うサユは
すごく寂しそうだった。
「うん」
あたしの話を相槌打って聞いてくれる。
「だから、サユと友達になるのは骨が
折れるほど大変だった。
雨の日も風の日も毎日男の子を泣かせる
サユとどうしたら対等に遊んでもらえる
かと考えたこともあった。
本当はすごく優しい子なのに、みんな
サユを怖がるんだ。」
知ってるんだ。
サユがよく遊んでくれてた男の子が
苛められたと聞いて相手の少し年上の
男の子の集団に1人で殴り込みしに
行ったことがある。
花壇に植えられた花がぐしゃぐしゃに
踏まれたのを見て一生懸命花を元に
戻そうとしていたのも。
猟奇的ですぐにカッとなって暴走するサユの
本当の姿はとっても優しくて不器用な女の子だった。
「だから、あたしだけはどんなサユでも受け止めて
あげようって心に誓った。」
どんなにサユが猟奇的な行動に出ても、
絶対に拒絶はしない。
逆に、女の子なんだから喧嘩ばっかりは
よくないよっていう友達になろうと奮闘することに決めた。