「日和、一緒に行く。」
サユが立とうとしたから止めた。
「平気、あたしのミスだもん。
待っていてくれよ。」
サユは何言ってんのよって目で見てきたが、
本当に飲み物買うぐらいあたしで十分だ。
みんながご飯を食べ始める中あたしが走り出そうと
したところ馨君に呼び止められた。
「日和ちゃん!?」
すいません、今とても急いでます。
「ちょっと、飲み物買い忘れた!!」
だから、さらばだ。
「何がさらばだアホ野郎!!」
お前に言われたくないぞ金髪ライオン。
「さっと行って戻って来るよ。
方向音痴じゃないから多分戻って来れる。」
こんな分かりやすい場所に戻って来れない
方が大した方向音痴だ。
「日和ちゃん、付いて行くよ。」
馨君、お食事中に悪いからいいよ。
「平気だってすぐそこではないか!!
それよりゆっくりご飯食べてなよ。
サユちゃんのことは任せたわ!」
あの子の相手をしていてくれんかね。
ツンツンモードではあるけど、つまらないって
感じがモロに出てる。
「サユリちゃんは任せて。」
もっくんとよっちゃんとももっちがサユの
機嫌を何とかしてくれるらしい。
「頼みます!」
あたしの失態でサユの機嫌が悪くなったら
大変だわ。
この後に悪影響になってしまう。
「日和ちゃん、変な人について行っちゃ駄目だよ。」
馨君、あたし小学生ではない。
そこまで、馬鹿じゃないです。
「大丈夫だから。」
大体、あたしが声を掛けられるわけがない。
そんな心配はご無用だ。
素早く戻って見せるぞ。
サユとみんなを残してあたしは海の家に
舞い戻ったのだった。
それがまさかの事件を引き起こすとは
知らずに。