その癖、病院でわんわん泣く父さんを宥める
娘のあたしはどれだけ恥ずかしかったことか。
変なところ駄目な父親なんだ。
熊と友達になったりライオンと仲良く写真撮ったり
強盗と戦って八百屋のおじさん助けたりする癖に
掠り傷一つで泣き出すへタレな父親を持ったことは
あたしの人生において最大な問題である。
でも、そんな父親を嫌いになったことはない。
馬鹿でもへタレでもあたしの父である。
この世界でたった一人のあたしの父さん。
少しぐらいのヘマなんて可愛いものです。
「何か、すごいお父さんだね。」
そんな父さんが好きなのが不思議で仕方ない。
呆れるぐらいの馬鹿をしてもなおまだ嫌いに
なれないのである。
「親馬鹿で変な父親だよ。」
次はいつ日本に戻ってくるんだろうか?
まぁ、父さんの翻弄加減にはもう半ば
諦めているから好きにやってくれればいい。
「でも、好きなんでしょ?」
馨君はよく人を見ている。
「うん・・・すごく可愛がってくれたからね。」
それなりに、大好きですよ。
ファザコンではないですけどね。
むしろ、娘大好きな父親には負ける。
いつでもどこでもひーちゃんと叫んで
そうでたまにゾッとする。
「日和ちゃんが純真なのはお父さんの
おかげかもね。」
へっ?
「あ、確かに。」
そうかね?
馨君とユウヤが2人で完結させてしまう。
あたしそっちのけですかい?
まぁ、いいや。
「ところで、ここが海の家?」
初めて来たけど、浮き輪があったり、
食べ物もたくさんあるようでわいわい
しているそこはやっぱり未知なる世界で
キラキラ輝いていた。