サユがフライパンを叩くと同時にあたしは驚異の
早さで立ち上がり自慢の俊足を武器に蹴散らす
醜い争いを避け独走状態でフラッグを滑り込みで
キャッチした。
それはもうビーチフラッグ選手権があったら確実に
優勝出来るんじゃねってレベルだったと思う。
顔に砂が付いてしまった。
スライディング技を使って夏の海フラッグを手に
する女子高生なんて居るんだろうかと思う不良
メンバーズたちなどお構いなしに高らかに笑った。
ケッ、勝負にもならない。
この俊足をナメてもらっちゃ困る。
「ひーちゃん、足早くねぇか?」
「女子がスライディングしちゃ駄目だろ・・・・」
「ヒヨリンが取っちまうなんて予想もなかったぜ。」
そこ、賭けてやがったのか!!
不良メンバーズめっ。
何してくれちゃってんだよ。
そういうのはよくないんだぞ。
ボートレースじゃないんだからな!!
競馬でもないぞ。
「やるじゃねぇか。」
味方チームとハイタッチをしてやった。
このあたしに不可能の文字はないのだ。
砂浜でも走れるようにと日頃散歩に関わらず、
ジョセフィーヌと共に走っているあたしにとって
は庭で走っているようなものだ。
「日和ちゃんって運動神経もいいんだね。」
馨君に頬についた砂を払ってもらう。
「足には自信があるからね。
球技もこう見えて得意だよ。」
泳ぐさえなきゃこっちのもんだ。
次のバレーだって活躍してやる。
「慶詩、ヒヨリンに負けちゃってんじゃん」
「おめーもだろ。」
ユウヤがぷふっと笑うも慶詩の激しいツッコミ
にユウヤは咽た。
砂でも食べちゃったんだろうか?
それは大変だ。
早くぺってしろ。