その戦いは瞬殺だったと思う。

恐るべきプリチーエンジェル。

蹴り技炸裂で優雅にフラッグを取った。

やっぱり、ナル君は怪力であると同時に

すごい脚力を持っているのかもしれない。

身体能力が未だに未知なものだ。

掠り傷一つなく戻ってきた様はもう

すごいとしか言いようがなかった。

「ヒヨリン、見てた!?」

ナル君は可愛い顔で戻ってきた。

「うん、もちろん華麗なステップでしたよ。」

もう可愛いので突っ込むところはなくていいや。

「ヒヨリン見てるから頑張った。」

可愛すぎてハグしたいぞこの野郎。

ナル君のキュートさに拍車が掛かってきたところで

ついにあたしの番が来てしまった。

「本当にあたしも走んなきゃ駄目なの?」

あんな恐ろしい戦いにはぜひとも不参加で。

ビーチフラッグなのに蹴落としあいなんて

したくないぜ。

ここは走って勝利を得る種目だろうが!!

「さっさと位置につけチビ」

ムッ!!

この戦い絶対に負けられない。

横並びのメンバーには慶詩と伊織君と

ユウヤという3トリオが居た。

何故だ!!

3トリオが仲良しなのは分かった。

そこに何てくじ運の悪さだ。

他にも不良メンバーズが数人並んでいる。

日頃のジョセフィーヌとの散歩で鍛えた

あたしの足の速さに追いつけるものなら

受けて立ってやるわ。

もう腹を括ってあたしは砂浜にうつ伏せした。

一度決めたことは何が何でも遂行させる

これは絶対なんです。

味方は慶詩と他に2人だ。

3人に蹴散らすのは任せてあたしは走るぞ。

戦いは走ることに意味があるのだ。