そもそも、サユは男という男に何ら興味
の湧かない女の子だった。
そりゃ、イケメンには目がないあたしとサユ。
それは心の潤いには欠かせないビタミンで
あって全く持って声を掛けられたところで
サユにはそれが通行の邪魔だと言う理屈で
排除するという行動に出るわけだ。
むしろ、サユは男前な気がする。
外見は完璧の美人女子だが、さすがマミー
の娘というだけあって容赦ない攻撃を繰り出す。
「日和、ここらへんにしよう。」
サユの手に引かれてやってきた波打ち際。
ドキドキしながらサユに引きずられるように
海の中に足を投入してみた。
「のわっ、冷たっ温い・・・」
冷たいものだと思っていたので結構なガッカリだ。
夏の海は温いのかもしれない。
この太陽のせいできっと海は沸騰しようと頑張っている
のかもしれない。
「日和と海に来るなんてビックリね。」
確かに、サユとは海に来ることがなかった。
毎度、プールで我慢して貰って本当に申し訳
ないなって思ってた。
「サユが一緒で良かった。」
だって、サユが居なきゃきっと不安で海に
足を付けることだって出来なかったかもしれない。
「そう?」
サユの頼もしさにいつも救われる。
不安がぶっ飛ぶのだ。
どんなに心配ごとを抱えてもサユが
笑って一緒に居てくれるだけでもう
忘れてしまうほどだ。
さすが、長年の付き合いってヤツだ。
サユ以上にあたしを理解してくれてる
人は居ないかもしれない。
「うん、来てくれてありがとう。」
あたしを心配して一緒に行ってくれるって
言ってくれた時は本当に嬉しかった。
心配掛けちゃうのかと思ったけど、
サユの頼もしさに改めて気付いた。